2022年01月17日
本の紹介
今年読んでおもしろかった本2冊、紹介します。
◆ミカエルの鼓動
柚月裕子さんの初めての医療ミステリー
大学病院で手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医の
西條。
西條のいる大学病院にミカエルを用いずに手術を行う真木が赴任
してくる。
少年の手術をめぐり、ふたりはミカエルを使用するかしないかで
手術方針について対立。
そんな中、西條と同様にミカエルを使用する医師が自殺を図る・・
というお話。
はじめは病院の組織構図がメインですが、中盤からじわじわと話しが
動き出します。
医療ドラマを観ているようでした。
二人の天才医師、西條と真木が衝突しながら医療の在り方、命の
意味を問う、、命の重さとは・・誰にでも同じ医療を提供することとは
どういうことか、色々考えされられました。
◆星を掬う
『52ヘルツのクジラたち』本屋大賞を受賞した町田そのこさんの
待望の受賞後第一作です。
千鶴が夫から逃げるために向かった「さざめきハイツ」には
自分を捨てた母・聖子がいた。
他の同居人は、娘に捨てられた彩子と、聖子を母と呼び慕う恵真。
「普通」の母娘の関係を築けなかった四人の共同生活が思わぬ
気付きと変化を迎える・・
読んだらタイトルの意味が分かる素晴らしい物語です。
親のせいにすることで自身は傷つかない。それは人生の責任放棄。
母親、娘それぞれの立場から語られる言葉の数々に憤りや歯痒さを
感じながらも、希望を掬い、やっと心が近づけた母娘の未来に自分
自身を重ねたり、涙が出ました。